「サラジーナ」絵本 その1
夜の魔人 4ページ目
「わたしは夜空の月に乗ってやってきました。ひとめ、あなたに会いたくて・・・」
そう言って流れ星の花束をさしだしました。
でも、流れ星はひるまの世界では見えないのでした。
「あ・・・」と魔人はがっかりしました。
でも太陽のむすめは手をのばして 見えない流れ星の花束を受け取りました。
娘の手に流れ星と魔人の手がふれた時、流れ星からきれいな音楽が流れました。
それはふたりがはじめて聞く音楽でした。
いつまでも聞いていたくなるような きれいなきれいな音楽でした。
それから時々夜の魔人は月にのってひるまの世界にやってくるようになりました。
そのあいだじゅう、夜空には月がないのでした。
夜の世界のみんなは「魔人はまた太陽の娘に会いに行っているんだな」と
魔人のるすをしっかり守っているのでした。