さるといぬのおはなし 

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   ある日のこと、さるの はなちゃん が ぱかぱか山で遊んでいた時のこと。

 ついうっかりケガをしてしまいました。

 あ、痛、イタタタ。 もとから赤いお尻が もっともっと真っ赤になっています。、

 そこへ通りかかった犬の ごんすけ が 「どうしたんだ?」と声をかけました。

 ケガをしたんだね、と手当てをしてくれました。

   それで はなちゃん と ごんすけ は 仲良しの友達になりました。

 犬とさる は 犬猿の仲 というように、昔から相性が悪いとされてきました。

 けれども はなちゃん と ごんすけ は うまが合って、仲良しになりました。

 ふたりが、山で遊ぶときは 頭に お馬さんのお面を つけてるような気分です。

 らったらったら らんらん ♪。

   あるとき はなちゃんが ごんすけをお家に呼んで一緒に遊ぼうと思いました。

 でも、さるは さる族で集団を作って暮らしています。  犬も 犬族で集落を作っています。

 ごんすけは さるさん達がくらしている村に ひとりで入っていく勇気がありません。

  それを考えただけでとても こわくって 「こまいぬ」のように 固い石に なって しまいました。

 

 はなちゃんが「よしよし」となでて、 こまいぬのごんすけは やっと 元のごんすけに 戻ることができました。

   はなちゃんも いぬさんたちの村に ひとり 訪ねていく勇気もありません。

  こわくって、全身の毛がびっしりと さかだち、 「たわし」のように なってしまいました。

ごんすけが 毛のないお尻を ぽんぽんと 軽く叩いてやらなかったら、

 はなちゃんは ずっと「たわしのはなちゃん」 の ままだったに 違いありません。

   それでどうしようかなぁ、と ふたりは 考えました。 

 そうだ! 馬のお面をかぶって行こう。

   ごんすけは馬のお面をかぶり、はなちゃんの住む さる村にいくことにしました。

 「これは となり村のかにさんから わけてもらった、柿だよ。〜めしあがれ」 おいしそうな柿です。

 「さるさん と かにさん は 仲が悪いんじゃなかったかな?」と ごんすけが聞くと 

 はなちゃんは答えます。

「ああ、さるかに合戦 のお話ね。  確かに 大昔に そんな事もあったみたいよ。

 でもね、あのお話が終わった時  それはそこで終わりなのよ。 

 そういう事がありました。  こうなりました。

 で、終わったの。」  ごんすけは感心して聞いています。

 「今もずっと さる というさるは かにさんにひどい事をしてる、と考えるひとがいるらしい、けどね。」と

 はなちゃんが言った時、 ごんすけは頭をかいて 言いました。  「実は ぼくも そう考えてたんだ。」

 はなちゃんは ごんすけの顔をじっと見て言います。 「・・・私が そんな事をすると 思う?」

 ごんすけは 「 思わない。・・・そうだね。考えをあらためるよ。」 と言いました。

  ふたりは にっこりです。


   あるとき、さる族の村と いぬ族の村の間の ぱかぱか山に 火事がおこりました。 

 さるさん達もいぬさん達も 必死で 火を消し止めました。 必死で協力して 水をかけました。

 空のくもさんも 一緒に雨を降らせて 火を消してくれました。

   長年お互い、一言も話をしなかったさるさん達といぬさん達が 久しぶりに お話をしました。

 さる村の村長さんが

「そういえば この ぱかぱか山は 昔 かちかち山と呼ばれていましたねぇ。」と言うと

 いぬ村の村長さんが遠くを見る目をして言いました。

「ええ、そうです。 あれは うさぎ族のうさ太郎が『うさを晴らしたい!』と言ったのがはじまりでしたね・・・。」

 長い長い むかし話が はじまりました。

 

   そのうちに さる村の中にも いぬさんが引っ越ししてきて、一緒に暮らすようになり、

いぬ村にも 色んな動物村から 色んな 動物達がたずねてくるようになりました。

はなちゃんと ごんすけは もう 馬のお面をかぶらなくても お互いに楽しく遊ぶことが

 できるようになりました。

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