むかしむかし あるところに

ひとりのおんなのこが うまれました。

あたまのかたちが くりに にていたので

くりこちゃんと なづけられました。

 

うまれたとき、くりこちゃんには かみのけが

1ほん だけしか はえていませんでした。

でもおとうさんも おかあさんも きにしていませんでした。

くりこちゃんは せいちょうしても、かみのけは

1ほんの ままでした。

くりこちゃんの おとうさんは おいしゃさんでした。

が、どうして くりこちゃんのあたまの かみのけが

1ほんだけ なのか わかりませんでした。

くりこちゃんは がっこうに いくと、

おんなのこの おともだちは やさしいのですが

おとこのこのなかに くりこちゃんを

はやしたてる子がいました。

 

「やぁい。やぁい。1本だけのくりこ!

ぼうしのなかは 1本だけ!」

くりこちゃんは まいにち かなしかったです。

くりこちゃんは ある日、りんごおばあさんが

あるいているところをみました。りんごおばあさ

んは ときどきおとうさんのびょういんにやって

きます。りんごおばあさんは りんごの木が

いっぱいある山をもっていました。

りんごおばあさんはうっかりつえをおとしたので、

くりこちゃんがつえをひろいました。そのとき、

くりこちゃんはぼうしがぬげておちてしまいました。

くりこちゃんは1本だけの かみのけを ながい

まま、あたまにぐるぐるまいていました。

ぼうしがおちたとき、かみのけが ほどけて

しまいました。

りんごおばあちゃんは「あらあら」と言って、

くりこちゃんのかみを きれいにまいてくれま

した。

 

「あなたのおなまえは なんていうの?」と

りんごおばあちゃんが ききました。

「くりこ」とくりこちゃんは こたえました。

「くりこちゃん、きょうはとってもいい、りんごの

パイが やけたの。あなたのおかあさんと

いっしょに わたしのうちにいらっしゃい。」

と りんごおばあちゃんは さそってくれました。

くりこちゃんはおかあさんといっしょにいくことに

しました。

りんごのパイ!

とっても おいしそうですね。

いいえ。

おいしそう、じゃなくて、

ほんとうに おいしかったのです。

りんごのパイをたべたあと、りんごおばあちゃん

は、くりこちゃんをいすにすわらせました。

そしてくりこちゃんのかみのけを きれいに

くしで といてから、ちいさなかぎばりをとりだして

はしっこから あみはじめました。

くりこちゃんのおかあさんは、くりこちゃんのかみ

が1本しかないことで なやんでいましたから、

たいへんおどろきました。

りんごおばあちゃんは くりこちゃんのおかあさ

んに あみかたをおしえました。

はじめは くりこちゃんのおかあさんに まいにち

かみをあんでもらっていましたが、10さいになっ

たころ、おかあさんにおしえてもらって じぶんで

あむようになりました。

15さいになったときには、うまくできるように

なっていて、お花のもようにあんだり できるよう

に なりました。

18さいになったころ、くりこちゃんは、とっても

きれいに かみをあむことができるように なり

ました。あんだ かみは まるで きれいな、

あみあげぼうし のようでした。

クラスじゅうの おんなのこが くりこちゃんを

うらやましがりましたので、くりこちゃんは

おんなのこたちのために けいとで ぼうしを

あんであげました。

くりこちゃんが はたちになったとき、あみもの

きょうしつを ひらきました。まちじゅうの おんな

のひとが くりこちゃんせんせいのところに

やってきました。くりこちゃんせんせいは、

とっても おしえるのもうまかったので せいとは

みな とても じょうずになりました。

でも くりこちゃんせんせいには かないません

でした。                    おわり

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