「サラジーナ」絵本 その1
夜の魔人 2ページ目
それはすきとおるような青空色の肌の 太陽の娘でした。
夜の魔人は決してひるまの世界に行くことはできませんでした。
この世界の半分はひるまの世界で、もう片方は夜の世界です。
夜の魔人は夕暮れから朝やけの世界を動かしていて、
それが彼の世界でした。
でも彼は知っていました。
ひるまの世界で太陽の娘がどのようにこころをつくして
雨をふらせたか、美しい虹をかけたか、ということを。
それはなぜかというと、夜、動物たちが夢の中で教えてくれたからです。
木の葉たちも石たちも 花も みな 教えてくれたのです。
魔人はある時、石の山のてっぺんにすわって考えていました。
「そうだ! ひるまの世界に月をうかべてみよう!」